自然を見極める
庭づくりは、石や木をただ配置する仕事ではありません。石の表情、木の癖、土地に流れる光や風を読み取り、その場にふさわしい景色へ整えていく仕事です。解体された古い家から出てきた石、長い年月を過ごしてきた素材にも、それぞれにしか持てない存在感があります。その声を聞き分けることから、庭の骨格は少しずつ立ち上がります。
良い材料を選ぶためには、多くの庭を見て、触れて、記憶に蓄えていくことが欠かせません。植司では、京都の庭園文化を土台にしながら、現場ごとの自然を目利きし、時間が経つほど無理なく馴染んでいく庭を目指しています。
手に馴染む道具と技
剪定鋏や三又、石を扱う道具。庭師の仕事には、身体の感覚と道具がひとつになる瞬間があります。大切なのは値段ではなく、自分の手に合い、思った通りに動かせるかどうかです。
技術は一日で身につくものではありません。見て、まねて、試して、失敗しながら覚えていく。その積み重ねが、自然な枝ぶりを残す剪定や、重い石を景色として立ち上げる力になります。
庭のある暮らしを広げる
寺社仏閣や町家、個人邸、そして海外へ。日本庭園の魅力は、場所や国境を越えて伝えられるものだと考えています。派手さではなく、毎日見ても心が静かに整うような景色。季節の小さな変化に気づき、自然との距離を取り戻せる場所。植司が大切にしているのは、そうした庭の力です。
庭が暮らしの中から少しずつ減っている時代だからこそ、もう一度、自然と向き合う場所をつくること。古くから受け継がれてきた技術を守りながら、今の生活に合う庭のかたちを提案していきます。